「…大丈夫かい？」
「ん…ヘーキ…」
イワンが頭を撫でてくる手に瞳を細め、先ほどとは打って変わって温かさすら感じられる指先の感触に小さく頷く。するとすぐにナカへと潜り込んできた。
「んっ…ふっ…」
強い違和感…開かれる感覚に息を詰めるが…慣れたもので…すぐに吐き出して力を抜いた。キースの指が探る様にナカを撫でてくる。入口を擦り上げる指の動きにぞわぞわと背筋が震え、少しでも楽なようにと開いた唇から荒い呼気が吐き出された。
「…すごいね…いつもよりもうんと滑りがいい…」
「っ…ぅ…ッあ！？」
そりゃローションだからな…と呟きかけた唇からはびりっと突き抜ける悦楽の刺激に甘い声が吐き出された。何が？と思う暇もなくぞくぞくっと震える躯に、胸元へ指が這わされている事に気づく。ゆるり…と視線を動かして見下ろせば、イワンの腕が潜り込んでいた。
「んっ…や…ぃわんっ…」
「すいません…手持無沙汰なので…」
「だ、からっ…てっ…」
「気持ちいいんだろう？虎徹君？ココがきゅうきゅうと締めつけてくるよ？」
くにくにと胸の実を潰しにくるイワンの手から逃れようと躯を捩るも、菊華に咥え込まされた指に容易く押しとどめられてしまう。ぴくっと躯が跳ねる度にきゅんっと絞まる菊華の中の指を意識してしまった途端、余計に絞め上げてしまった。
「ぁ…あぅ…」
「…可愛い声…もっと弄って欲しいんですね？」
「やぁ…ぁっ…」
「こちらも…物欲しそうだね？」
「んっ、ぅ…んあぁっ！」
くすくすと笑う声に頬がかっと熱くなる。真っ赤になったであろう、頬を指が擽ってくるのが恥ずかしくて…居た堪れなくて…気持ち良くて…ぎゅっと瞳を閉じると菊華の圧迫が増した。耐えきれずに吐き出す甘い嬌声と共に背が弓なりに撓る。自然と押し付けるようになった胸に這う指が、固く熟した実を摘み上げるから余計に背が反らされてしまった。
「…あぁ…とても厭らしく、エッチな音だ…虎徹君…それに…とても柔らかくなってきたよ？」
「あっ…こ、らっ…ひろげ…っんなぁ！」
ぐちゅっ…といった耳を塞ぎたくなる音を立てて指がナカを掻き回す。揃えて差し込まれていた指が左右に開き、頑なに閉じようとする菊華を割り開いていた。ひやりと触れる外気が胎内に流れ気持ちの悪さに身を捩るが、指から逃れるより先に胸を弄っていた指が実をぐりぐりと潰しに掛かってきて喉を反らせて啼くだけに終わってしまう。
執拗に攻め立てる２対に手に腰の奥が重く…熱く…疼きを増し、もっと大きな刺激を求めて腰を振ってしまった。
「虎徹殿…腰が揺れてますね？」
「ぁ…ぁう…ぅ…」
「物足りなくなったのかい？」
「ひっ…ぅん！」
胸で両方の実をきゅっと摘み上げられ…菊華で指がもう一本増やされる。痛みよりも…異物感よりも…ぞくぞくと震える悦楽だけを拾い上げる躯は絶え間なく熱を欲して疼き、苦しいくらいだった。
しがみついた腰のすぐ下にある…雄の匂いに釣られて虎徹は顔を埋めた。
「んっ…」
「ぁ…ふっ…んんっ…」
そこに存在する熱の塊を服の上から口で探り当て、「欲しい。」と言葉にする代わりに布ごと噛みつき甘咬みをするように歯を立てる。するとすぐに震えるイワンの躯に、虎徹はにやりと笑みを浮かべた。
「…っ…そんな…誘い方…初めて見ました…」
「んふ…っん…ぅ…」
「うん？あぁ、咬みついてきてるのかい？」
「はい…キースさんの…仕込みですか？」
「いや、仕込んだ覚えはないんだが…焦らし過ぎると彼が自らしてきてたよ」
「焦らす…んですか…良い事聞きました…」
「はは、そうだろう？とてもいい貌をしてくれる瞬間だからね」
「…っあ…ん…」
「そろそろ頃合かな？」
ちゅぷっと音を立てて指が引き抜かれてしまう。物足りない快感に自然と内腿を摺り寄せているとイワンが抱き締めるように躯を引き寄せた。膝を立てて四つん這いに近い状態にされたと思えば腰にキースの手が絡んでくる。
「ひくひくしてるね？」
「っ…いう、な…ばかっ…」
「折紙君、お先に」
「はい」
ちらりと見上げる先にあるイワンの表情も、肩越しに見えるキースの表情もどこか嬉しそうに見えてとても複雑な気分になる。けれど、それどころではなくなった。
「ぁ…ん…んんっ…」
くぷ…と小さな音を立てて、菊華に楔が割り込んできた。ずりずりと内壁を擦り上げて貫かれる感覚に身を竦める。今にも弾けそうな欲望はキースの手によって戒められていた。喉を反らせて啼き上げていれば、強張る躯を解す様にイワンの手が頬を撫でて口づけを送ってくる。
「んっ…入った…よ…」
「…ッは…ふ…」
キースの声にイワンの唇から開放された。荒々しく呼気を吐き出すと褒めるようにするりと腰を撫でてくれる。強張っていた躯から余計な力が抜けると、咥えた楔の熱さで熱されたかのように吐く息まで熱くなった。
「大丈夫ですか？」
「…ぅ…ん…」
イワンも頭を、頬を宥めるように撫でてくれる。そのお陰かは分からないが、緩やかに息を吐き出せた。それとともに体内に埋まる楔の熱に腰の奥が…ずくり…と疼く。けれど、戒められた楔からは欲を吐き出せず、じわりとした熱を帯びて四肢へと巡って行った。
「…っ…な、ぁ…」
「動いて欲しいかい？」
「んっ…うず…く、んだ…」
「了解した。折紙君」
「はい。仕上げに掛かります」
「ぅ…あ…？」
左右の頬にそれぞれ口付けられると躯を抱えられた。
「あっ…うぅ…ッ！」
キースの膝の上に座るように抱えられると自重によってより深く楔が食い込んで来る。最奥をぐりっと抉られる感覚に、苦しさか悦楽か判断の付かない呻き声が漏れた。身を竦めている間に太腿を持ち上げられて、あられもなく大きく左右へ開かれてしまう。
「ッや…あっ…！」
「っく…」
さらされる秘所を手で覆い隠すよりも先に結合部へとイワンが顔を埋めてしまった。しかも、広げられた菊華の淵を舐められてしまう。ぞくぞくっと全身を震わせれば、咥え込んだキースの楔を締め上げたらしく耳元で呻く声が聞こえた。
「あっ…ぁう…っくぅ…」
ぬるり…ぬるり…と散々舐められたかと思えば今度は張り詰めたままの肉棒へと移っていく。舌先で締め付けられた根元から先端まで撫で上げるように舐め上げられて腰を跳ね上げた。目の前がちかちかと明滅するような快感が脳天まで突き抜けるのに、塞き止められた欲望が開放を許されない。体内で渦巻く熱が思考を溶かしていく。
「んっ、あぁ！」
「…大丈夫ですか？」
「んっ…こちらは、うねってきているよ…」
涙を流す雄の先端を舐められて後ろを締め付ければ、咥えた楔にまたぞくりと震える。終わりのない無限ループのような悦楽の刺激が脳を揺さぶり、可笑しくなりそうだった。
「…んぅ…っひ、う！」
「虎徹殿…」
「虎徹君…みんなで気持ち良くなろうか…？」
「っふ…ぁ…？」
前後から優しく囁かれるが、言葉の意味がイマイチ把握できない。躯中を蝕む熱に浮かされた脳内は正常な働きも出来ずにぼやりと霞む一方で…力の入らない両手にイワンの指が絡みついてきた。
「ッ！？…ちょっまて！」
「…少しの我慢だよ？虎徹君」
「すぐに良くなりますから」
「やっ、やめっ！無理！無理だって！」
大きく開かされた股上に…ひたり…と熱の塊を沿わされて『ナニ』をするつもりなのかが分かってしまった。それとともにざわり、と危機感が広がりなんとか逃げようと身を捩るも…突き刺されたままのキースの楔が許してはくれない。
「…いき、ます…」
興奮に掠れたイワンの声にカタカタと身を震わせていると、唐突にぞくりと甘い刺激が四肢に駆け巡る。
「…ぁ…っ？…はっ…！？」
「そんなに…強張っていたら入らないよ？」
「なぁっ…んッ…」
「ほら…ココ…もっと擦ってあげよう…気持ちいいだろう？虎徹君」
「やッ、やめっ…や、めぇッ！」
優しく囁いた声と同時にまた肌を逆撫でる悦楽がぞわぞわと這い上ってくる。何をされているのか、と混乱したが…原因はすぐに分かった。戒められたままの雄が先端をぐりぐりと擦られ、耐えようのない程の快感を生み出しているのだ。
躯がぴくっと跳ねる度に軽くイっているような状態の中…ひくつき始めた菊華の淵にもう一本の楔を押し付けられる。
「ぁっ…〜〜〜〜〜ッ！！！！！」
ずぐっ…と重い衝動と共に新たな楔が侵入を果たしてしまった。前側に突き立てられたせいか、前立腺をごりごりと擦り上げ目の前が何度も白く弾け飛ぶ。閉じられない唇の端からとろりと唾液が滴り流れ、酸素を求めて舌が差し出された。
「っ…ッ…ッ！！」
「はっ…すごい、な…」
「っく…締めつけが…ハンパじゃない…っ…」
信じられないほどの圧迫感とナカから広げられる羞恥心、耳元に聞こえる二人の掠れた声に…苦痛だか、快感だか分からない悦楽が体内を這い回る。吐き出される呼気が短く荒く…どうにか楽になるようにと必死だった。
「ぅあッ！？」
「…っきつ…」
「ッぁ…擦れ…て…」
「ひっぐぅ！」
ずるり…と抜け出る感覚とともにあまりの激しい悦楽の波で背が仰け反る。もう少しで抜け出る…と思えば…ずぶずぶ…とまた咥え込まされた。わけのわからなくなるほどの快感に打ち震える意識の中で、動いているのがイワンだけだと気がつく。けれど、前側に突き立てられている分、容易く前立腺を擦り上げ堪えようのない快感を四肢に広めていった。
「あッ…い、やっ…うご、く、なぁあ！」
「…どう、して…だい？」
「こわれっ…るぅっ…！」
「っでも…下の口…もっとって…しゃぶりついてます、よっ…」
「あぁうッ！！」
蠢く内壁を更に押し広げるように、キースが密着させた腰を揺さぶってくる。ガクガクと震えて止まない躯に、イワンが黙々と腰を打ち付けてきた。
ぱんっ…と肉同士のぶつかる音に伴って甘く痺れる刺激の波が躯を駆け巡り、絶頂へと手を伸ばす。あまりの激しさに逃げたいのか、もっとと求めているのか判断の付かない動きで腰が勝手に揺れていた。
「やぁっ、やっ、らめっ…ら、めぇっ！」
「んっ…ぅん？」
「こわれっひゃうぅ！おっ、お、かひくっ、おかひ、く、なうぅッ！」
「ふっ…呂律が…回っていない…ね？」
イワンが傍若無人に腰を振る舞うべく、キースが虎徹の躯を支えていたのだが…うねりを加えてひくつき始めた内壁は突き上げる楔と咥えさせただけの楔を一纏めに締めつけ、互いに擦り合わさせていた。イワンが動けば動くほど、虎徹の前立腺を刺激し、キースの楔を擦り上げる…お互いがお互いを絶頂に押し上げ、くらくらと脳内が痺れそうな熱と悦の中で途切れる事のない虎徹の嬌声だけが部屋を満たしていた。
「げんかいっ…だね…ッ」
「えぇ…ぼくもっ…です…」
劣情にぎらつく２対の瞳を交差させて、二人の間で身悶え啼き叫ぶ躯を一緒に抱きあげる。膝立ちになった二人の間で一瞬身を竦ませた虎徹だが、すぐ二人交互に突き上げられてしまい成す術なく感じるがままに啼き続けさせられた。
「ひっ、あっもっ、もぉっらめッら、めぇっ」
「はっ…ふっ…」
「きも、ちぃっのぉ！きも、ひっ、いぃい！」
「んっ…く…！」
「ッイく！ぃイくぅ！イっひゃうぅぅ！」
びくびくと反りかえる躯に合わせて虎徹の欲望を戒めていた指が解かれる。それどころか射精を促すように擦り上げられ、更には先端をもう一つの手が引っ掻きに来た。
「ッあぁあぁぁあぁぁぁああぁぁッ！！！」
「くぅっ！」
「うっ…ぅ！」
どくりと大きく膨らむ二つの楔を感じ取り、更に締めあげてしまえば体内に灼熱の欲望がぶちまけられる。火傷をしそうなほどの熱にホワイトアウトする視界…まともに呼吸すら出来ない口は開いたままに…ぞくぞくっ…と駆けあがる悦楽に従い腰の奥で疼き続けていた欲を解放する。勢い良く吐き出される白濁を己の躯に引っ掛けて、強烈だった快感の余韻に四肢をひくひくと痙攣させていた。
「っはぁ…はぁッ…」
「…こてつ…どの…」
「こてつ…くん…」
荒々しい呼吸を繰り返す中、己を呼びかける声が左右から聞こえてくる。優しい声音に虚空をぼんやり見つめていた瞳がとろりと蕩けて閉じていった。
「っ！？あ、うぅんっ！！」
「まだ…だよ？」
「なッ？！あっ！あぁ！」
「夜は…始まったばかり、です…」
「ひっ…ぃやぁあ！」
闇に沈みかけた意識は再び律動を始めた二人によって覚醒されてしまう…
長い長い夜の序章としては濃厚過ぎる一連の流れに、くらくらと揺れる頭の中で虎徹は「早く終われ」と報われない祈りを繰り返していた。
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