深く咥えるつもりなのか、刹那の頭が楔の上に覆いかぶさってきた。ちゅるり…と音を立てて亀頭を口に含まれると、熱く湿った空間の中でぺろぺろと舐め回される。ぶるりと震える程の快楽を与えられ、溺れ始めているとそっと指が添えられた。
「ッ!?」
「可愛いな?」
「せつなっ…おまッ!」
完全に勃ち上がった楔の根元がぎゅっと締め上げられ躯を跳ね上げた。刹那から可愛いなんて言葉が出てきたのは驚きだが、それよりも向けられたのが自分である事と己の現状を確認出来た瞬間青褪めてしまう。
楔の根元に綺麗なブルーの紐が括られている。
「…こ…れ…?」
「…青は俺の印…」
「〜〜ッ」
ちゅっと可愛らしい音を立てて赤く爆ぜた先端に口付けをされる。ぞくぞくと震える背筋に達してしまいそうだが、根元に食い込む紐によって妨げられてしまった。代わりに熱い息を吐き出すと刹那の顔が近づき吐息を喰らうような口付けを施される。腕を首に回され互いの舌に気を取られていると無防備な脇腹に柔らかな太腿が触れた。ぎしりと軋む椅子の音と共に刹那が再び乗り上げてくる。互いの吐息を混ぜ合わせながら唇が離れた。
「…せつな…」
太陽の光が差し込む部屋の中で生まれたままの姿を晒す刹那を見上げ、寄り添わされる胸の柔らかさと温かさに呼気がまた熱を上げる。
「ッ!」
「ぁ…」
耳を舐められていると甘い声が上がった。次いで楔がねっとりとした柔らかな肉に押し潰される。息を詰めていると刹那の細腰が揺らめき、連動するように楔の竿をぬるぬると熱い肉が行き交った。どうやら『コレ』は刹那の熟れた花弁で間違いないらしい。
「…ぁついし…おっきぃ…」
「ん、ふぅ…ッ」
花弁に押し当てた楔の存在に呼吸が荒くなる。うっとりと囁きを零していると乱暴に吐き出される呼気を聞いた。どうやらいつも翻弄する側のニールを追い詰められているらしい。満たされる優越感の中、腰の奥…子宮が…蜜壺が…ニールの楔を求めて泣き喚いているのに気付く。刹那自身もかなり余裕がなくなりつつあるのだ。
「…?…せつな?」
温かな腕に、躯に抱きついていたい気持ちもあるけれど…本能がニールと共に更なる高見を求めている。名残惜しげに離れると足の縄を解いた。突然の行動に驚いたのだろう、不思議そうな声で呼びかけられる。
「もう少し待て。」
物欲しそうに見つめてくる『狗』の頬に口付けて後ろへと回る。すると無駄な抵抗を無意識の内にしていたのだろう、縛り上げた腕と椅子を固定していた縄の結び目が固くなってしまっていた。さらに縄が擦れて腕に赤い摩擦痕まで出来ている。見るからに痛そうな痕に舌を這わせると肌がぴくぴくと小さく跳ねた。
「…解放してくれんの?」
するすると解ける縄に直接問いかければ小さく笑う声が聞こえた。さらに肩越しに頬を寄せられると首筋へまた一つキスマークを刻んだらしい、ちりりとした痛みと甘い疼きが走る。その行動に答えがなんとなく浮かんできた。
「まさか。」
「…やっぱり?」
予想はしていたが、こうもばっさりと告げられると取り入る嶋も見当たらない。刹那の柔肌を堪能したいと嘆く手がむずむずと疼いてしまう。それを見られたのか、米神や頬も唇で擽って慰めてくれる。
「次のオーダーが聞けたらご褒美を考えてやる。」
顎を持ち上げられると天井をバックに逆光の中妖しい笑みを湛える刹那の顔が見える。どうやらさっきのオイタを挽回させてくれるようだ。その笑みをぼんやりと見上げていると両手が首を撫でてくる。
「イヌには必要だろう?」
「…わぁ…本格的。」
何かを巻かれたな…と認識するとすぐそれが何か分かる。見えるように視界に入れてくれたのは、先ほどまで腕と椅子の背もたれをぐるぐる巻きにしていた縄だ。絞まる事なく、けれど顎から上には絶対に抜ける事のない大きさの輪が作られて…リードの役割であろう長いロープの先は刹那の手に握られている。
「立て。」
短く命令されるままに腰を浮かせると倒れないように気を使ってくれてさりげなく支えてくれた。向かい合うように立つとくっと紐を引かれる。引き寄せられるままに上体を曲げれば鼻先に口づけを落としてくれた。
「…どうしたらいいの?ご主人様?」
飼い主に懐く犬のように口の周りを舐めて指示を仰げばきらりと光る紅い瞳が見つめてくる。じっと見つめてくる瞳にめげず指示を急かすよう舐め続ければ、さすがにくすぐったいのか小さく笑みを浮かべて離れて行った。その姿を追いかけると、さっきまで座っていた椅子にゆったりと腰掛ける。
「舐めろ。」
使う事はないだろうと思っていた疑似人格ライブラリを記憶の底から引っ張り上げてくる。内容を確認した時に使わないだろう…と思っていたが、スメラギに一応知識としてとどめておけ、と言われたものだ。まさかこんな風に使うようになるとは…まさか彼女はこの事を予測していたのだろうか?
薄ら寒い憶測を頭の隅で思い浮かべながら足を組んで浮いた爪先をニールへと向ける。彼がどう行動に出るのか興味をそそられながらポーカーフェイスを貫いていると、静かに膝まづいた。
「っ!」
手が使えない分かなり不自由だろうに…土下座をするのかと思うほどに頭を下げて伸ばした爪先に唇を添えてきた。足の甲をぺろりと舐めてちゅっと音を立てると、ちらりと瞳だけで見上げてくる。
「…上出来だな…」
視線だけで伺いを立ててくる狗に褒め言葉を呟けば嬉しそうに瞳を細めて続きへと没頭していった。
唇から食み出た舌で足の裏から指の間まで入念に舐めまわされる。熱く滑る表面に息が上がってきた。悟られないようにと出来るだけ殺しているのだが、きっと耳のいい彼には聞こえているだろう。
「んっ…」
一つため息に似た呼気を吐き出すと指を口の中に含まれてしまう。しゃぶるように、嬲るように舌で舐めまわされて小さく呻いてしまった。その声に碧い瞳がちらりと上げられる。肉食獣にターゲットとして見定められたような感覚が肌を焼き、反らすことなく舌だけ動かしていた彼は徐々に上りつめてきた。
「ぁ…っは…」
脛を…ふくらはぎを唇が擽り、僅かに浮かせた膝の裏の柔肌に舌を伸ばされる。余裕に見せるために組んでいた腕が徐々に己の躯を抱き寄せていった。膝まで上り詰めたニールがふと動きを止めてじっと見上げてくる。
「………」
「………」
椅子の台の上には滴り落ちた蜜が溜まっている感触がはっきりとある。もちろんさっきからのニールの愛撫で感じ入ってしまった結果だ。いかに気持ち良くて感じ入っているのか…花弁の変化を眼前に晒す事への羞恥に足を組んでいたのだ。しかし、太股の合せ目に鼻を擦り寄せる狗にはお見通しなのだろう。舐めさせろ、と目で訴えてきている。
「……ほしい?」
勿体つけるようにゆったりと足を解いて肩足を椅子の隅に引っ掛ける。紐の持っていない手で恥丘を一撫でし、見せつけるように花弁を割り開いた。途端にとろりと蜜が流れ出た感触と、ぎらつく瞳で凝視するニールに背筋がぞくぞくと震える。後ろに付いた手がぎゅっと縄を握りしめて小さく震えだした。
「ほしいのか?返事してみろ。」
精一杯の強がりで演じ切って言葉を重ねると熱に浮かされた鋭い瞳がゆるりと見上げてきた。いつもの余裕に満ちた表情ではない…けれどそれは自分も同じ。本能のままに求めるならば今すぐ視界の端に写るニールの雄に貫かれたいのだ。灼熱の楔…脳髄まで走る甘い痺れ…躯を喰らい尽くさんと押さえつける大きな手…逃げる事を許さない強靭な指…息を奪い去る唇…その全てを欲して疼く躯が蜜を零して啼いている。けれど…もっと…もっとじっくりと味わいたい…長い時間をかけて降り積もる想いのように…だから極限まで焦らす。ニールも…自分自身も…
躯中の肌が流れる空気すら感じ取れるほど敏感になる頃、そっとニールの唇が動く。
「わん。」
発された言葉に一瞬きょとりとしてしまう。しかし、にっとほほ笑む彼の顔にすぐ意図が理解できて、笑い声が漏れた。
「賢いイヌだな?」
『リード』を引っ張って顔を近づけさせると顎を掬い上げて唇を重ね合わせる。ない『尻尾』を振る代わりに舌をたっぷりと絡めてきた。唇の端から溢れる唾液も舐め上げる『狗』はもっと『ご褒美』が欲しいらしく、顔中に唇を寄せてくる。
「…ニール…ご褒美だ。」
頭を撫でてキス攻撃を止めさせると期待に満ちた瞳がじっと見つめてきた。その視線に曝されながら椅子に浅く座り直すと出来るだけ足を広げて腰を突きだすような姿勢にする。
「…好きなだけ…舐めろ…」
羞恥が拭い切れないくせに精一杯応えてくれる刹那は頬を赤らめながらも足を全開にしてくれた。花弁を広げる指が震えているのが分かる。『女王様』を貫いても献身的な刹那に笑みが深くなっていった。せっかく一生懸命尽くしてくれるのだからニールとしてもしっかりと応えてやらないと…と思う反面、据え膳喰わぬは男の恥、と都合良く解釈してふんだんに蜜を含んだ華に口づけた。
「んッ…ひぁんっ!」
内腿に沿って近づく体温、指に掛かる吐息…それらを敏感に拾い上げる肌をふるふると震えさせて積もる興奮に息を荒げる。ぬるりと指を這う舌先にびくりと肩を跳ねさせると、ぐちゃっと耳を塞ぎたくなるような卑猥な音とともに背筋を駆け巡る悦楽に背を仰け反らせた。
「あっ!あぁっ!!」
蜜壺に舌を潜らせただけで刹那が背を反らせ胸を揺らして啼き上げる。腰を逃がそうとする理性ともっとと強請る本能が鬩ぎ合っているらしくゆらゆらと揺れては足が開かれていった。手が自由ならばそのしなやかに跳ねる足を掴みあげて存分に喰らい尽くすのに…と不自由さに苛立つ心を舌に乗せてしゃぶりつく。
「ひぅっ!ゃあんっ!」
蜜壺を嬲る舌に翻弄され過ぎるのか、強く感じすぎる快感に刹那の躯が踊り続ける。震える手が髪を掴み、腰が逃げようと後ずさった。けれど狭い椅子の上ではすぐに背凭れへと追いやられ、足の間に収まるニールの体によって閉じられない足ががくがくと震えてきている。追い詰める顔によって逃げ場を失った躯がすぐそこまで迫りくる絶頂に戦慄いてきていた。
「にっ、にぃっるっ!」
「んーぅ?」
「まっ、まて!まってぇ!」
最後の追い上げに入ろうとした矢先に『まて』を言い渡されてしまった。甘く濃厚な蜜を味わっていたのに…といっその事、命令違反しようか、とも思ったが…刹那のナカに入りたい息子が痛みで訴えてくるので渋々従う事にする。でもやはり名残惜しいので新たに蜜口から溢れそうになっている蜜を強く吸い上げてから離れることにした。
「んぁあっ!」
花弁ごと吸い取られそうなほどに強く吸い付かれイってしまうと思った瞬間、呆気なく解放された。極限まで追い遣られていた躯が絶望に震え、霞みかけた意識の中、痺れる手足が枷を付けられたかのように重く感じる。酸素を取り入れようと繰り返す呼吸の中、ぬるりと内腿を這う感触にぴくりと肩が跳ねた。
「っ…?」
ぼんやりと視界を動かすと足の間からニールがじっと見上げてきている。不満タラタラな表情をしているが『まて』を言い渡した為に、お利口にも『待機』しているらしい。甘い痺れを持ったままの手をそっと上げてその頭を撫でてやった。
「…いい子…」
完全な犬扱いではあるが、うっとりと情欲に塗れた表情で笑う刹那を見れるのはなかなか良い。けれど痛みを増す欲望の楔がそろそろ限界だった。根元に巻き付いた紐もどろどろに濡れているに違いない。その切羽詰まった状態を伝えるように頭を撫でる手を追いかけてかぷりと噛みついた。
「っん…あ、ぁ…ちゃんとした…ご褒美…あげないとな?」
「ッ!…っくぅ…!」
手に噛みつくニールを見下ろしてその更に奥にある…躾ようのない雄を見つけた。ゆるりと足を浮かせて移動させると、汁を垂れ流す雄を足の甲で擦り上げてやる。きゅっと寄る眉間の皺…手に吹きかかる熱い息…ちろりと震える舌が強請る様に舐めてくる様に刹那はまた笑みを浮かべた。
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