「…おーい…刹那さーん?」
「………」
「…無理しなくていいんだぞ?」
「…無理なんかしてない。」
「あら…そう?」
「…じっとしていろ…」
「はいはい。」
「返事は一回で充分だ。」
「はーい。」

少し間延びした返事を返してやるとどうやら眉間の皺をさらに深くしてしまったらしい。ぎゅっと皺を寄せて構えた両手をぴくり、ぴくりと動かしている様はなかなかに面白い。

−んー…それにしても気持ちいいなぁここは…

ふと視線をずらせばさわさわと木の葉をゆらす木が生い茂っている。その隙間からきらきらと差し込む光はそれほど眩しくなく、緑の絨毯の上を滑り流れてくる風は潮を含まずとてもすがすがしい。
それらを堪能して再び視線を戻せば刹那は先ほどと変わりなく櫛を右手に髪留めを左手にうんうん唸っていた。
この調子だと気づいてないんだろうなぁ…腰に俺の腕が回ってるのに。

先ほどまで浜辺で刹那の髪を切ってやっていたのだが、終わったあとにまさかこんな展開になるとは思わなかった。
鋏の類を直している最中だ。何気なく前髪をかき上げると刹那の視線が刺さった。不思議に思って振り向けば前掛けに使ってた布を畳み終えて白い半そでのパーカーに袖を通している。少し汗で湿ってしまった前髪はかき上げた形を保ちながらも、完全に保てていないのかぱらぱらと落ちてきていた。そんな状態でお互いに見つめあうこと数秒。くるりと踵を返したのは刹那だった。なんだったのだろう?と思いつつも鋏を直し終えて倉庫へと片付けていると…

「ロックオン。」
「ん?」

後ろからかけられた声はさっきどこかへ行ってしまった刹那のもの。くるりと振り返ると片手になにやら随分可愛らしいポーチと櫛を持って立っている。刹那とのその珍しい組み合わせに思わずぱちくりと瞬いてしまう。
こういっちゃなんだが…女の子であるはずの刹那はおしゃれと言った類のものにとことん無頓着だ。もう少し可愛いものにも興味を持ったらどうだ?と言った事もあるが、戦いに必要ないとばっさり切られたのはそう昔の話ではない。
そんな刹那がピンクと淡いオレンジの花柄のポーチを片手に持っているというだけで相当の衝撃はある。そのポーチ…どう見てもクリスとかフェルトの持ってそうなものだから余計に驚いたのだ。刹那もこういうものに趣味が現れ始めたのかと少々感動してしまう。

「クリスティナ・シエラに借りてきた。」
「…ですよね。」
「?何がだ?」
「や、こっちの話。で?」
「前髪を結んでやる。」
「…刹那が?」
「切るのはダメだ。だから結ぶ。」

何故切るのはダメなのか突っ込みたかったが、せっかくの密着出来るチャンスを自ら棒に振る気はないので機嫌を損ねるよりも先に素直に頷くことにした。何せ「お願いしようか」って言った瞬間の微笑みといったら…心臓鷲掴みもいいとこだ。
せっかくいちゃいちゃ出来るんだ。誰にも邪魔されたくはないんで島の中央に位置する森の一角に移動する事にした。小川に沿って移動したから迷子になることもない。まぁ、こんな小さな無人島で迷子も何もあったもんじゃないが。
木の下に腰を下ろすと手招きをして刹那を伸ばした足の上に座らせた。そうしてお好きにどうぞとばかりに手放してやると、一つ頷いて櫛を握り直す。潮風に煽られたからか少々引っかかる髪に苦戦しながらも何度か梳かしていればすぐに俺の髪は元通りの櫛通りになっていった。するりと櫛の間を滑る髪にしばしば見入っていた刹那が脇に避けていたポーチから一つヘアゴムを取り出すといざ、と言わんばかりに構える。そしてそのまま………

……今に至る。
刹那の手はどこから纏め上げたらいいのかと迷い、その迷いのままにぴくりと反応しては悩みと繰り返していた。
そろそろ10分は経過しようかというところでちょっとした悪戯心が芽生え始めてしまう。
さっき羽織っていた白のパーカーは前を開いたままで鎖骨が黒いタンクトップの上に浮かび上がっている。その美味しそうな光景に思わず舌なめずりしてしまった。

「ッ…ロックオン!」

噛み付くように肌へ口付ければ悪戯は功を奏したようで刹那の焦った声が耳に届いた。鎖骨に唇を寄せてぐっと体を近づけると髪がくいっと小さく引かれる。

「んー?」
「何やって…」
「だって暇なんだもん」
「もんじゃない!いい年した大人がッ」
「じゃあ早く結んじゃってよ」
「うぅ…」

はむはむと軽く歯を立てて噛み付けば息を呑む声が聞こえる。腰に回していた手で背中を弄りズボンの中から引きずり出したタンクトップの中にしのばせるとびくりと背筋が跳ねた。背骨に添って撫で上げればゴムのついたコルセットに行き当たる。刹那の胸はまだまだ膨らみに欠けているが浮かび上がる曲線は男にないそれで。だもんで男を貫くつもりの刹那に胸を押さえるコルセットを与えてやれば気に入ったのか、丁度いいと思ったのか、律儀にいつも着用していた。そろそろ女性らしい丸みが出てくる年頃だから止めさせようかとも思うがこの事を独り占め出来ないのもなんだか面白くないのでそのままだったりする。
ま、俺の手でもうちっと育ててコルセットが苦しくなるくらいになってから止めさせても遅くはないだろう。

「やっ…」

そのコルセットと肌の隙間を指でなぞり前まで回って更に手を潜り込ませれば刹那がゆるゆると首を振った。その光景を下から見上げるのはなかなかに興奮するものがある。

「ろっくお…」
「どうした?刹那」

頬を僅かに染めながら睨みつけることで訴えてくる刹那に惚けて見せると眉間の皺が一層深くなった。コルセットのホックを一つ二つと外していくと震える手が肩を掴んでくる。誰か来た時を考慮して一番上と下を残して他を外し終えると捲り上げたタンクトップの下から顔を潜り込ませる。無理矢理寄せられた胸の谷間に舌を這わせれば肩についた手がぎゅっと握り締めてきた。ぐいっとコルセットを回せば出来た隙間から片方の乳房がぷるりと弾け出る。

「ぁ…やぁ…ッ…」
「いや?気持ちよすぎていや?」
「違ッ…も…やめッ…」
「やめてほしいのか?ずいぶん気持ちよさそうだけどな。ほら、乳首だってこんなに尖ってる。」
「やッ!」

意地悪く周りにぐるりと舌を這わせてくっと噛み付くとびくりと体を振るわせる。今にも抜け落ちそうな両腕を必死に奮い立たせる様はまったくもって可愛いったらない。
服の中から顔を出し間近で刹那の顔を窺いながら指は不埒な動きを止めず摘みあげてはくるりと円を描いて捏ね回している。敏感に反応を示す刹那の目尻に溜まる涙に舌を這わせればゆるりと瞳が開いた。

「だ…め…」
「俺に触られるのがダメ?」
「ちが…」
「じゃあ何がダメ?」
「…がまん…できなくなる…」

刹那とこういう関係になってそれなりに経つが、こんな言葉を聞かされるのは初めてだと思う。
快楽という麻薬を知った刹那の体は酷く正直で俺の腕の中で意識を飛ばすことも少なくはない。それに反して普段は随分ストイックさを装っているもんだから夜の事はまるで別人にも思える。
そんな刹那が我慢できなくなるとか…どんだけ俺の息子さん刺激してくれるんだか…
ついでに加虐心にも火を点けてくれたりなんかしちゃって…

「あぁ…ここが疼いて我慢できないって?」
「ぁ…ん…」

ズボンのファスナーを辿って隙間に指を滑らせれば吐息と共に吐き出される声と逃げを打つ腰がかなり厭らしい。指をそのまま擦り続ければぴくりと跳ねながら無意識だろう腰が擦り付ける様にゆるゆると揺れる。
随分大胆になったなぁ…なんて考えたが…よくよく思い返せばここの所出撃が多くて一ヶ月お預け状態だったことに気が付いた。
俺なんかは記憶の刹那をおかずに右手を恋人にしたりなんかして誤魔化したが…もしかして刹那は何もしてないとか?…あぁ…でもそうか…一人エッチの仕方なんか教えてないもんなぁ…悪い事したかな?
刹那の顔を覗き見れば擦られる指の動きに朦朧とし始めているのかうっとりとした表情を浮かべている。あー…これは…腰にくる…

「我慢できないならココでしちまうか…」
「でも…外…」
「ん…だから本番はなし。」

言うが早いか、俺は刹那の手から櫛とゴムを抜き取るとその体を抱き寄せて地面に横たえる。軽い刹那はころんと思い通りに転がると不安げに見上げてきていた。
俺の太ももを枕に刹那の頭を乗せて、もう片方の足は立てる。これなら遠目には膝枕して寝てるようにしか見えないだろ。刹那の体を俺に巻きつくように丸めさせるとまるで猫が体を添わせて寝ているように見えてなんだか可愛い。残念ながらしようと思ってる事は大人の営みだけどな?
膝の上から不思議そうな顔をして見上げる刹那の髪を優しく梳いてやる。

「な、刹那。俺の咥えてくれる?そしたらココ、俺の指で可愛がってやるよ。」
「ッ!」

背中を巡って小さな桃尻を辿り足が重なる隙間に指を差し入れると俺の言った意味が正しく伝わったのだろう、刹那の顔に朱が差した。戸惑いがちに見上げる瞳ににっこりと微笑みかければおずおずと手が動きジーパンのファスナーを少しずつ下ろしていく。それに合わせるようにハーフパンツと一緒に下着を擦り下げればぴくりとその体が小さく跳ねた。下着の中から俺の息子を取り出すとそいつは正直なもんで、すでに張り詰めている。

「刹那…舐めて?」
「…ん…」

やりやすいようにと首に手を差し込んで持ち上げれば刹那は猫がミルクを飲むような姿勢になってしまった。俺の太ももに両手をついて上体を支えながらちろりと舐め始める。

「ん…いい子…」
「ぅ…ん…」

頭を撫でてやると嬉しそうなため息が漏らされる。亀頭ばかり舐めていた舌が付け根の方に辿りつきゆっくりと舐め上げられていった。思わず背筋を震わせるとぱくりと先端に被りつき上目遣いで見上げてくる。…まったくいつの間にこんなおねだりを覚えたんだか…うっすら赤味を増している目元を撫でてやると遊んでいた右手で桃尻を撫で上げ双丘に指をねじり込む。

「んっ…」
「なんだ…ぐしょぐしょになってるじゃないか」
「ふ…ぅん…」

意地悪く言葉にして指を擦り付ければすぐにくちゅりと音を奏でる。ぷるっと体を震わせても口に含んだ俺の息子を離す事無くたどたどしい舌使いで舐め続けていた。この従順っぷり…普段じゃ拝めねぇな…

「ほら、もっとちゃんと舐めてみな?」
「っは…ぅ…」

一旦口を離すともう一度口の中に迎え入れてちゅぱちゅぱと美味しそうに吸い付いてくれる。そのご褒美とばかりに指を蜜壷に潜らせると熱い吐息が吹きかけられて背筋があわ立った。
半端にずらされたハーフパンツのせいで広げられない足のせいか中がいつも以上にきゅうきゅうと絡み付いてくる。指一本でこのキツさ…かなりだな…
四つん這いになって俺の股間に顔を埋めている刹那は当然の摂理で腰が高く上がってしまう。そのおかげでパーカーとタンクトップが捲れ上がり、晒されたお尻ばかりが目立ってしまっていた。しかも俺の指に合わせて物欲しそうに揺れる様子はたまらない。指を増やせばもっとと強請る様に腰を突き出し口淫に溺れていく。
刹那の的確な追い詰めに荒くなった息を吐き出せばちらりと上目遣いで見上げてくる。無言ではあるそれを正確に汲み取り微笑みかけてやった。

「あぁ…気持ちいいぜ、刹那…」
「ん…ぅ…」

褒めて髪を撫でてやれば瞳を細めて続きに没頭していく刹那。ご褒美が足りないな、と浅い場所でゆるゆると抜き差しを繰り返していた指をぐりっと押し込んでやる。

「っふうッ!?」

口を離す事無くびくりと背を逸らした刹那は一瞬、驚愕の表情を浮かべた後とろんと蕩けた顔を見せた。ぴくんぴくんとひくつく体と蜜壷におや?と思う。

「なんだ…もうイったのか?」
「は…ん…」

口の端から飲み干しきれなかった先走りと己の唾液を溢れさせる刹那の顎を掴むと強引に上を向かせて唇を重ね合わせる。顎を伝う液を舐め取り、再び重ねるとおずおずと舌が伸ばされてきた。

「刹那…続き」
「…ぅん…」

そろそろ弾けそうなくらいに張り詰めていながら放置させてしまった息子の事を促せば頷いてその小さな口に迎え入れてくれる。中に埋めたままの指をぎゅうぎゅう締め付けてくる蜜壷を押し上げれば押さえ切れなかった嬌声が漏れた。そっと伺えば涙目の刹那がその揺らぐ瞳で見上げている。

「すぐイっちゃいそう?」
「ん…」
「そっか…じゃあ一緒にイこうな?」
「んぅ!」

刹那の体に覆いかぶさるように体勢を変えて仰向けにさせる。ちょっと喉の奥まで入ってきて苦しいかもしれないが、これで互いを思う存分刺激できるだろう。えづきそうになっちゃったかな、と様子を伺えば根元の袋に指を絡めて更なる刺激を与えてくれる。…なんだよ…ヤる気満々じゃん、刹那。
舌舐め擦りをして刹那の片足からズボンと下着を抜き取るととろとろと愛液を溢れさせる華に口付けるとひくりと震えるので更に舌まで這わせてしまう。舌を差し込んで更に入れたままの指を動かせば刹那の背中が仰け反った。じゅくじゅくと更に濡れる華は素直で、咥え続けられなくなった刹那が小さく喘ぎ声を奏で始める。

「ぁん…ひっ…ぅんッ…」
「気持ちイイ?」
「んっ…イ…イッ…」
「素直でいい子だ…」
「ぁ…ろっく…ぉん…ッ…」
「ん?イきそうか?」
「イ…っちゃう…ッ…」
「ぅんじゃ…しっかり咥えな?」
「ぅ…んんッ」

声を抑えるためにも、と言えば刹那は素直に口の中へと収めてくれる。震える舌とか微かに当たる歯の感触がぞくぞくと背筋を振るわせる。知り尽くした刹那の快感スポットをぐりっと押し上げれば立てた膝が振るえ、ぷしゅっと愛液を噴出した。

「んんんんんーッ!!」
「ッ出すぞ…刹那ッ…」
「んんっく…ぅうん…」

びくびくと震えていた膝が治まって来た頃俺の方も絶頂を迎えていた。イった反動で刹那の手がぎゅうっと握り締めてきたからだ。それでも一応刹那がイき終えるまで耐えた自分を賞賛したい。
びゅくっと吐き出した精子を刹那は残さず飲み干してくれた。刹那の喉が動かなくなるのを待ってから上体を起こせば、腰の辺りに細い腕が絡まってくる。驚いている間にも仰け反った刹那が俺の息子を舐めて綺麗にしてくれた。あまりのご奉仕っぷりに笑みを浮かべていると、ちゅ、と音を立てて刹那の唇が離れていく。

その濡れた唇にご褒美のディープキスを与えてやった。










「あっれー?刹那も付けてもらったの?」
「……頼んだわけじゃない。」
「頼んでないって…ぷっ…ロックオン?!」
「んー?」

ようやく森から帰ってきた俺達を一番に出迎えてくれたのはクリスだった。
機嫌の悪そうな顔で俺の前を歩く刹那の髪には俺が着けてやった水色の花とラインストーンが可愛いヘアピンが光っていて、その事に首を傾げたクリスが俺を見ると思わず吹いてしまった。
ま、そりゃそうだろ。

「これ選んだの刹那?」
「そ。だから俺もお返しにあのヘアピン着けてやったわけ。」
「なぁるほどねぇ〜」
「…さっさと外せばいい…」
「それはちょっとなぁ…せっかく刹那が苦労して結んでくれたやつだし?」

そう言って俺の額の上で揺れる緑のガーベラを突付くと刹那の顔は更なる仏頂面になってしまった。
森の中で仕掛けた悪戯にへそを曲げた刹那が俺の髪を結ぶ為に選んだのは大きめの緑色をしたガーベラがくっついたゴムだった。出来上がりを鏡で確認して思わず、わぁ、と苦笑を浮かべるとポーチの中にいくつか飾りの付いたヘアピンが見える。だったら、と暴れる刹那を押さえ込んで着けてやるとこの様だ。

「ふふ、可愛いよ?二人とも」
「可愛くなんかない。」
「刹那はまだしも俺はちょっとなぁ…」
「可愛くなんかない。」
「そんな事ないってぇ〜…あ、ロックオン!」
「ん?あぁ、はいはい。」

クリスの楽しそうな声とそのポーズに反応して、そっぽ向いたままの刹那を素早く捕らえると無理矢理方向を変えさせる。
文句を言おうと口を開く前にカメラモードにしてあった端末がシャッターを切った。その音に目を瞠った刹那が顔を真っ赤にするや否や、クリスはすでにみんなのもとへ走って行ってる。慌ててそれを俊足で追うも追いついた頃には刹那はみんなにその可愛らしい頭をお披露目してしまっていた。


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せっちゃんは兄さんの髪の毛フェチ(笑)


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