「はい、出来上がり。」
「んっ…ん…」

腰の奥がむずむずとむず痒い中、ニールの満足そうな呟きを聞いた。そろりと瞳を上げると蕩けそうなほどに柔らかな笑みを浮かべる彼女の顔がある。

「刹那は…頭の先から足の先まで俺のもんだからな…」
「…?…」
「残る痕跡も俺のもんだけ。」

にっこりと微笑んで脇腹に指を這わされる。くすぐったさに肩を竦めて見下ろすと、綺麗に色づいた朱色の花弁があちこちに散り、醜い痕を塗り替えてあった。

「………」
「俺はこれで満足なんだけど…刹那は?」
「…ん…いい。」

『咬まない』…でも…『俺もいや。』
その二つの言葉がようやく繋がった気がした。そっと紅い輪を描く痕に指を這わせていると…小さく笑みが浮かんでくる。大切にされる事…怖がらせない事…その二つがいかに彼女が自分の事を想ってくれているのかを現しているようで…少し恥ずかしくて…でもとても嬉しかった。

「…ホントに満足?」
「?…あぁ。」
「ホントにホント?」
「そうだ、と言っている。」
「ホントにぃ?」
「…しつこいな。」

さっきから頷いてもいるし、言葉に出してちゃんと肯定しているというのに怪訝そうな顔をしている。そんなニールの態度にさすがの刹那もむっとした。なんだっていうんだ、と瞳で訴えるとぷっと頬を膨らませる。

「だってぇ…触ってほしそうなんだもん。」
「…何が?」
「コ・コ。」
「!」

つん、と指で示されたのは胸の紅い実。さっき弾かれて玩ばれはしたが、離されてから結構時間が経ったはずだ。けれど、つんと尖った実はその形を保ったまま…朱色を更に濃くしている。かぁっと頬が熱くなる感覚にきゅっと唇を咬むと、ニールの顔が伏せられてしまった。

「あッ!」

「やめろ。」という言葉よりも先に唇が実を啄ばむ。柔らかく挟むように、咬むように唇だけで摘んでちゅくちゅくと吸い上げられた。敏感な実に熱い息遣いが吹きかけられて余計に躯が震える。

「っふ…ん…」
「…ねぇ?刹那…」
「っは…っふ…」
「…満足?」

逃げようにも密着するように抱き込まれてままならない。更に腰へ両腕を絡められて全く動けなくなってしまった。自然と上がる呼気を荒々しく吐き出していると、にんまり…という表現がぴったりな笑みを向けられる。

「…ろっくぉ…」
「なぁに?」

舌の付け根が痺れたように上手く回らない。舌っ足らずになりながらも名前を呼ぶとすぐに返事を返してくれるが、それ以上は何もしてくれなかった。

「なぁに?刹那?」
「…(分かってるくせに…)」
「何してほしいのかな?」

わざとらしく聞いてくる声にむっとするも、現状から何も変わることはできない。こつりとぶつけられる額にちらりと見上げると、きらりと光る碧い瞳が獲物を待ち構える獣のように妖しい光を纏っていた。

「…もっと…さわって…」

ぽつりとこぼした言葉に満足したのだろう、瞳を細めて笑うと再び躯に顔を伏せようとする。けれどその両頬を包み込んで顔を近づけた。

「お?…刹那?」

予想していなかったのだろう…不思議そうな表情を浮かべる彼女に少し良い気分になって薄く笑みを漏らす。そして唇が触れるか触れないかの位置まで迫ってそっと囁いた。

「…さわって…気持ちよくして…」
「ッ!」

囁いた言葉にニールの瞳がまん丸になった。その瞳に写る自分の貌が薄く笑みを浮かべているのが見える。
言った言葉に嘘はない。けれど『言わされっぱなし』というのが癪に障る。だから先に言ってやったのだが…恥ずかしいことは恥ずかしい。でも、ニールのこんな表情を見れるのならば、この羞恥も悪くはない。
しかも、びしりと固まったまま、数秒経過…その後に頬をかぁっと染め上げていった。
いつもは年上らしい余裕を纏っているだけにこんな変化を見れるのは…正直嬉しかった。ふわりと微笑んでダメ押しのようにちゅっと口付けると、その肩がびくりと跳ねる。

「…せったん…エロス…」
「…意味が分からない。」

微笑みたいのだろうが、驚きと刹那からのお誘いに感極まっているらしい感情がない交ぜになり…頬を赤らめたまま、口の端だけで笑みを象り瞳はぱちくりと瞬いたまま。なんとも微妙な表情に余計、笑いが誘われる。

「…ろっくぉん…」
「はぇ!?」
「…してくれないの?」
「ッ〜〜〜〜〜!!」

わざと拗ねたような態度をとってみる。お手本はネーナだ。
じっと上目遣いになるように見上げると、口元を覆ったニールは瞳を泳がせた。何か失敗したか?…と思うも、赤い頬がひくひくと震えている。どうやら叫びたいのを必死に耐えているようだ。

「…刹那…」
「…ん…?」
「そうやって…余裕でいられるのも…今だけだからな…」
「………たのしみ…」

しかめっ面で振り返ったのに少し驚いたが、その瞳がギラギラとした欲の色を滲ませるから胸の奥がどくり…と大きく跳ねる。もっと煽るように…と微笑みながら一つ言葉をこぼすと噛み付かれるような口付けを施された。

−…刹那は…『小悪魔』というスキルを手に入れたらしい。
頬を染めたままに悪戯っぽい笑みと可愛いオネダリに心臓が痛いほど脈打っているのが分かる。
こんな刹那なら首輪つけられて飼われるのも悪くない、とか考えてしまった。
リードを引かれて口だけでご奉仕したら、ご褒美って言っていっぱい触らせてもらう。
オイタしたら冷たい瞳で見下ろされるとかぞくぞくするね。
で、ご機嫌取りにうんと気持ちよくして…
………って、これじゃあ『小悪魔』じゃなくて『女王様』じゃん。
まぁ、刹那ならそれもありかな。
『女王様』になってもらったら下克上して組み敷いてあんあん啼かせて…
………俺ってとんだ隠れSだったんだな。

そんな女王様『候補』はただいま俺の指で啼かされ中。
あんなオネダリするからだ。
せっかく手加減しようと思ってたのに…無・理。
仕方ないからたっぷり啼かせてイかせて…
昨日の出来事ぜーんぶ忘れるほど塗り潰してやるぜ?覚悟しな。



「ふっ…あぁぁぁぁぁんッ!!」

何度目になるのかもう数えるのも億劫になった中、ニールのコートを握り締めて刹那は果てた。背を仰け反り、がくがくと震える躯を持て余し、閉じることを忘れた唇の端からは飲み込めなかった唾液が溢れる。きゅうきゅうと絞まる蜜壷の中に、まだニールの指が存在し背筋がぞくりと震えた。

「まぁたイったの?刹那?」
「…ッぁ…ぅッ…」
「指一本しか入れてないんだぜ?」
「ひゃっ…ゃうっ!」

ニールの言うとおり、痙攣を繰り返す蜜壷には中指だけが差し込まれている。担ぎ上げられた足のせいで閉じることの出来ない股上は彼女の眼下にすべて晒され、ヒクツク花弁からぷくりと膨らむ華芽まですべてをじっくり観察されていた。中を犯す指だけでなく、その視線すら今の刹那には嬲られる快感をもたらしている。

「中、ぐっちょぐちょ…」
「はっ…ぁんんっ…」
「指、ふやけちまいそう。」
「ひぁんっ!」

くちゅくちゅと水のような卑猥な音が耳に纏わりつく。ナカの具合を確かめるように軽く抜き挿ししていたかと思えば指を回してぐりっと内壁を掻き回された。顎を仰向けて喉を晒すように躯が仰け反る。天井を指している足の指がピン、と伸びるのをニールの肩越しに見つめた。

「ぁは、また蜜が流れてきたな。」
「ぁ、ぁう…ぅ…」

蜜口の端からとろりと溢れ出る蜜の感覚にふるりと震える。先ほどからこうやって溢れる度にニールの唇が押し当てられて蜜を啜られていた。また同じようにされてしまう…と、羞恥半分、期待半分に眺めていると、ちゅぽっと音を立てて指が引き抜かれてしまう。内壁が擦れる感じにぴくりと跳ねていると太ももを更に押し広げ持ち上げられた。

「…あ?」
「…ふふ…やぁらしぃ…」
「ッ!」

躯を丸められるように足を上げられて、肩と首だけで全体重を支えるような体勢にされる。すると、足の間から舌舐め擦りしているニールの貌が見えるし、とろりと蜜を溢れさせている花弁も丸見えだった。

「お、やーらかい、やーらかい。」
「やっ…ゃんっ…」

あまりの光景に顔を背けようとしたが、両肩に膝が付きそうなくらい曲げられて叶わない。しかも少し息苦しかった。

「ちょっと息がしにくいかな?」
「ん…ぅ…」
「で・も…すぐにどうでもよくなるよ…」
「ぁ…ふあぁ!!」

舌を出したニールがべろり、と花弁を舐め上げる。敏感な肌を撫でる熱い肉の塊にぞくぞくと背筋が震えた。けれどそれ以上に見せ付けられる羞恥が頭を可笑しくしていく。

「やっ…やぁ!」

足を固定するように両腿を肩に担がれて腕を絡められる。閉じようにも閉じられなくなった足の間でニールの赤い舌がちろちろと動く様が酷く厭らしい。太腿に回した腕をそのままに、器用な手が花弁をぱっくりと開いて蜜口を晒した。…まさか…と声を立てるよりも先に…ぢゅうっ…と卑猥な音を立てて吸い付かれてしまう。

「あぁんっ!」
「…ん…おいし…」

びくびくと跳ねる躯はニールの腕で逃げることは叶わない。拘束されたような状況はさらに興奮を煽ってくる。自由にならない躯、足…思うままに弄ぶ相手がニール…そう考えただけで耐え難いほどの悦楽が突き抜けた。
…奪われる…奪われたい…蹂躙される…蹂躙されたい…
心の奥から湧き上がる思いは、そのまま快感へと直結し熱となってじわりと躯を蝕む。

「あっ…ぁあ…っあ…」

息を吐き出すたびに混ざる艶声が沸きあがる熱を助長する。熱い舌は尚も蜜壷を這いずり回りとろりと溢れる蜜を舐めとっては吸い上げた。唇が柔肉を食み気まぐれに華芽を啄ばむ。下半身がどろどろに溶けそうなほどの悦楽に何も考えられなくなった。

「ん〜…っは…」
「ひゃうっ、ぅ…」

全体に口付けられたかと思うと吸いつかれた。熱い口内にひくりと震えているとようやく開放される。

「すっごいな…まだまだ溢れてくる…」
「…ぁ…あ…」

くたりと躯を投げうっていると悪戯な指は、開いた花弁を弄り始める。ぱくぱくと開閉を繰り返すと次第に…にち…にち…という卑猥な音へと変わっていく。恥ずかしさに身を捩るも逃れられずされるがままだった。溢れる蜜が糸を引いたであろう感触にぴくっと肩を跳ねさせるとまた唇が覆い被さってくる。

「ッぃやぁん!!」

…にゅるり…と耐えがたい感覚とともに蜜壺の中に塊が侵入してきた。ぬくぬくと這いまわるソレは蜜壷の入り口を掻き回しくにくにと微妙な動きで口を広げてくる。

「やっ…ゃらっ…ぁ…」
「んー?なんれ?」
「んんっ!」

ミルクティーブラウンの髪の隙間から長い睫毛を伏せるニールの貌が見える。ピンク色の唇から見えるはずの舌は自分の華の中に埋もれている光景すら見てしまい身震いしてしまった。なんとか止めさせようと声を振り絞ってみるが、舌を差し入れたまま話そうとするから微妙な振動が伝わってざわざわとした感覚に腰の奥が疼く。

「やっ…やっ…ろっく、ぉッ…!」

必死に動かない首を振るうとようやく舌が出て行った。くちゅりと奏でられる音にひくりと震える。酷い羞恥からは脱出できたのに、疼く腰が自然と揺れ動いてしまう。その動きに気付いただろう、ニールがくすりと小さく笑った。

「…お尻…ふりふりしてるけど…?」
「やっ…いぅなっ…」
「言っちゃだめなの?じゃあ、ひくひくしてるココは?」
「やんっ!」

華にふっと息を吹きかけられ、ぞくっと走る耐えがたい感覚にびくりと躯が跳ねた。花弁を割り開いていた指が移動して、つんと上を向く華芽に差しかかる。指先の触れる感覚にふるりと躯が震えると、予想通りに弾かれてしまった。

「ふあぁっ!」
「…いい声…もっと啼いてごらん?」
「あっ、や、やぁっ!」

熱に浮かされ掠れたニールの声がすぐ近くに聞こえる。反射的に閉じていた瞳を開くと焦点の合わない位置に彼女の貌が見えた。眇めた瞳…薄く開いた口から洩れる荒い息…頬を紅潮させ緩やかな弧を描く唇が刹那から抵抗する気力を奪い去っていく。
押しつぶされるように華芽を弄られ、咥えるモノを求めてひくつく蜜口に指を押し当てられる。表面ばかりでぬるぬると行き来する指がもどかしく、蜜壺を弄ってほしい、と腰が揺れた。

「あっ…ぁう…んっんんっ…」
「ねぇ、刹那?こっちのお口は何を言ってるのかな?」
「なっ…にッ…」
「ほら…指を離そうとしたらちゅうって吸い付いてくるんだ。」
「ッ…やっ…!」
「振りきって離しちゃうとぱくぱくお話ししてるんだよねぇ…」
「っあ…ぁあ…」
「ねぇ?何言ってるのかなぁ?」

ぷちゅ…ぷちゅ…とわざとらしく音を立てて蜜口の表面を指が軽く叩いてくる。その度に指を咥えたがる蜜口が離れまいと吸い付く音に、死にそうなほどの羞恥が煽られた。鼻の奥がつんとして涙まで滲み出てくる。

「…ぁあっ…」
「…気持ちいい?」

蜜口を覆うように指が沿わされたと思えば、まるで携帯のマナーモードのように小刻みに揺すられる。ぞくぞくっとした快感が脊髄を駆け巡り震えるような声が唇から零れ落ちた。それとともに内腿がざわざわと駆けあがる感覚に気付く。…絶頂がすぐそこに迫ってきた感覚だ。

「あっ…あぅっ!」
「コレ…くにくにされて…そんなに気持ちいいんだ?」
「あっ…んんんっ…!」

切羽詰まった啼き声にニールが反応を示す。聞かれた言葉にこくこくと頷くと華芽を摘まれてしまった。

「やぁっ…ッぃやぁん…!」
「イくの?刹那?」
「ぃあっ…ぁんっ…!」
「出てくる蜜も一気に増えたね?」
「ぃあっ…やらっ…ぃやぁ…!」
「イって…刹那…ココだけで…イって…?」
「ッッッ〜〜〜〜〜〜!!!」

囁く甘い声に抵抗など出来るはずがなかった。ぞくぞくっと駆け巡る悦楽に流され腰の奥に響く快感に躯を仰け反らせる。声もなく達した瞬間、ニールの指の花弁の隙間からこぷり…と蜜が大量にあふれ出した。

「っ…ッ…ッは、ぁ…」

しばらく仰け反ったままの躯を戻すことも出来ず、強張るままに震えていると、四肢からふっと力が抜け落ちた。指の一本も動かせずに朦朧としていると、抱え挙げられたままだった下半身が下ろされる。開放された事は理解できているが、今は少しも動きたくない。気だるさが全身に余すことなく小波のように広がり、荒げたままの呼吸で必死に酸素を取り入れていた。

「…?…」

ふ…と近くにいた気配が遠のいた、と感じる。重い瞼を開くも、見えるのは壁ばかり。床に当てた耳に足音を聞いた気がしたが、痺れたような躯では頭すらまともに動かせなかった。

「…ふふ…メロメロだなぁ、刹那…」
「…ぅ…ん…?」

再び足音を捕らえると、遠のいた気配がまたすぐ近くに感じられる。すぐに頭を撫でる手が下りてきて、瞳をうっとりと細めていると小さく笑う声を聞いた。

「刹那…」
「…ん…ぅ…」

頬へ額へ…とくすぐったい口付けを落とされ、最後に唇同士が重ねられた。心地よい唇を甘受していると裸体をするり…と撫でられる。

「ね?…ここ…どんな感じ?」
「っ…あ…」

くっと手で押さえられたのは下腹の辺り…ちょうど蜜壷が伸びているだろう位置だ。じんわりと肌に広がる人肌の温もりに、意識しなかった蜜壷が…きゅん…と切なく疼きだす。少し引いてきていた疼きが熱を帯びてうずうずと耐え難いほどの感覚を広げ始めた。耐え切れずにもじもじと膝を摺り寄せると、ニールがふわりと微笑む。

「…刹那?…ココにさ…何か咥えたい…だろ?」
「…ぅ…んっ…」
「ね?…欲しい?欲しくない?」

まるでマッサージでもするようにすりすりと擦られるともう堪らなかった。花弁の合間を蜜が零れ落ちていく感触を感じ取りながら、刹那はそろりと口を開く。

「…ほし…ぃ…」
「ん、素直だな。いい子。」

額に口付けられて褒められるとかなり気恥ずかしい。瞳を細めて甘受していると、両の手が躯のラインを辿るようにするりと撫でていった。腰を掴まれるところりとうつぶせにされる。下に引いていたコートを取り上げられると簡単に畳んで再び渡された。クッション代わり…ということなのだろう。
ニールが見えない分何をされるのだろう?…と少々不安に思うが、肩から背に掛けてマッサージするように撫でて行く手が心地いい。ふっと力を抜いていると、腰を高く持ち上げられた。

「ッ!?」
「い〜い眺め。今度猫の尻尾用意してやるよ。」
「なっ!」
「ふりふり動いてるから可愛く揺れると思うぜ?」
「っ〜!」

四つん這いで上体を伏せた格好にさせられた上に、するすると突き出した桃尻が撫でられる。曖昧なタッチのあまりの擽ったさに腰が自然と揺れてしまっていたところへそんな揶揄が掛けられてますます恥ずかしい。


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