「お、目が覚めたか?」

 ぼんやりと映る視界の中に顔が割りこんできた。しばらくじっと見つめた後にようやく一つの名前が浮かんできた。

「……にーる?」
「ふふ……ホント間違わねぇな、お前さんは。」

 ぽつりと呟いた声に満面の笑みを向けられて少し気恥ずかしくなった。伸びてきた手に頬を擽られて瞳を細めると手を取られ隣に座らされる。

「……ここは……?」
「んー……どこだろうな?」
「……分からないのか?」
「うん、さっぱり。」

 ぴったりと寄り添って座らされると肩に腕を回してさらに密着するよう、抱え込まれる。その腕に逆らわず凭れ掛かると頭に頬を擦り寄せてくれた。ふとニールから視線を外していくと色とりどりの花が広がっている。座っている感覚はあるのだが、どこかおぼろげな感じがしていた。

「ただ……地球が綺麗だよな。」

 花の咲き乱れる地平線に…青く輝く地球が見える。とするとここは月なのか?とも思ったが、見渡す限り所せましと咲き広がる花に違う気もした。

「ッわ!?」
「お、似合うねぇ。」
「……なに?」

 ぼんやりと青く輝く星を見ていたら突然頭の上に何かを乗せられる。驚きはしたがそっと手を伸ばしてみると艶々とした花の感覚に触れた。どうやら花冠を被せられたらしい。なんでも作る彼にどこまでも器用だな、と笑ってしまった。

「お疲れさん。」
「?」
「危なっかしくてひやひやしたけど。約束も果たしてくれたし、未来を切り開いてくれたし、な?」
「……ん……」

 顎を掬い上げられて頬に柔らかく唇を付けられるとさらにあちこちに唇を添わされた。その合間に紡がれる言葉に少しくすぐったい気持ちにさせられる。

「可愛い顔。」
「っ!」
「そんな反応しても可愛さが際立つだけだっての。」
「……うるさい……っ……」

 あまりの心地よさに瞳を細めて体から完全に力を抜いてしまっているとくすりと笑う声にからかわれてしまった。途端にかっと熱くなる頬に不機嫌さを表すように眉間へ皺を寄せると背に回った腕と肩を掴む手にその場へ押し倒されてしまう。

「っ……にぃ……」
「たっくさん頑張った子にはご褒美あげないとな?」
「んぅ……」

 唇に落とされた口づけが先ほどとは打って変って荒々しいものになっていく。口内にぬるりと入り込む舌が己のそれを攫っていった。首の後ろを掴み持ち上げられると僅かに開く口では侵入を阻むことが出来ずになずがままになってしまう。

「っん……ふ……」

 難なく絡め取られてしまうと好き勝手に弄ばれ、呼気が荒くなっていく。時折啜りあげる音が耳に付くが体のラインを撫で下ろす手の動きにまともな思考が働かない。

「……ぁ……」

 ふと口を解放されると二つの舌の間で銀糸が細くひいてぷつりと切れる。その光景を熱に侵されつつある脳で理解出来るとファスナーが下りる音を聞いた。

「っ……」

 徐々に緩くなる胸元にトップスのファスナーが開けられているのだと気づく。ひやりとした外気に触れ思わず肩を竦めるが手を固く握りしめてじっと耐えた。開ききった服の合間から革に包まれた指先がするりと入り込んでくる。

「んっ……」
「……今日は……」
「……ぅん……?」
「随分大人しいな?」

 首筋から鎖骨へと唇を滑らせながら呟かれた言葉に顔がかっと熱くなる。いつもなら耐えかねて往生際悪く手で伏せたりとしていたのだ。けれど今日はそんな気が全く起こらない。

「何か考えてる?」
「……ニールに……」
「ん?俺?」
「ニールに……いっぱい触られたい……」

 正直な気持ちを素直に打ち明けた。
 さっきまでは目覚めたばかりの頭で上手く状況を掴めていなかったのだが、どうやらこの世界は己の夢の賜物なのだろう。前にも同じように夢見た覚えがある。傷を受けて熱に魘されていた時だ。彼は夢に訪れて己を諭していった。抱きしめて、『ここにいる』のだと告げていった。
 ならばこうやって触れてあえるのも、あの時と同じだろう。
 だったら……存分に触れてもらいたい。触れ合いたい。

 目が覚めて……独りになるまで……

「甘えんぼさんだな。」
「……ダメか?」
「まさか。ご褒美なんだからもっと欲しがっていいんだよ?」

 頭を撫でられて顔中に口づけられて…擽ったさに身を捩ると唇が更に下りていく。トップスの合せ目を辿り、インナーの薄い布地の上から探る様に胸を撫でられて敏感に反応してしまった。けれど「もっと。」と伝えるように胸元に埋まるミルクティーブラウンの髪に指を絡めて包みこむと、小さく笑われたのだろう、布越しに息が吹きかけられる。

「抱え込まれたら動けないんだけど?」
「……ん……」

 軽く窘められてしぶしぶ腕を解くと何か思いついたのか、口付けを一つ落として体を抱き上げてくれる。意図が分からずに大人しくしていると向かい合うように抱き寄せられた。反射的に首へ腕を回すとそのまま顔中に口付けを落としてくる。擽ったさに瞳を細めていると背中に回っていた手が動きだした。

「ぅ……んっ……」

 インナーを引きずり出されて中へと手が入り込んでくる。脇腹をなぞり上げられてぴくりと躯を跳ねさせるとさらに上り詰めた手に胸を掴まれた。そのまま感触を確かめるようにやわやわと揉みあげられると躯の芯が震え、連動するように実が固くなっていく。

「……っに、るぅ……」
「んー?」

 顔から首筋へと移っていった唇が肌を食んでは舌が擽る様に撫でていく。悪戯に揉みあげてはレースの布地ごと胸の実を摘みあげる動きに背筋がぴくっと反応を示した。けれど革に覆われた手が記憶の中の温かさを僅かに妨げている。もどかしさに名前を呼んだが、動きに変化が現れない。

「ん……て、てっ……」
「手?」
「てぶく、ろっ……やだっ……」

 流されそうになる中、必死に訴えればまたくすりと小さく笑う声が聞こえる。すると手があっさりと離れていき、布擦れの音が聞こえた。

「ソランは俺の手、好きだよな?」
「……ん……」
「理由とか聞いていい?」

 手袋を外していたのだろう、ほどなくして戻ってきた手は先ほどよりもずっと温かく、ぴたりと肌に沿わされる心地よさに……ほぅ……と小さくため息を漏らしてしまう。躯のラインを幾度もなぞりながら掛けられた問いにきゅっと首元へと縋りついた。

「ね?……どうして?」

 耳に直接吹きかけられる声にふるりと震えるとその動きを助長させるように指先が背筋をなぞり上げる。ぞわぞわと鳥肌に似た感覚が全身に広がる中、そっと唇を開く。

「……温かくて……」
「くて?」
「包み込まれるみたいで……」
「うん。」
「……気持ちいいから……好き……」

 羞恥に襲われながらもぽつりぽつりと答えると、抱きついた体の体温が上がったのか、温かさが増したようだった。それに呼応するようにきゅっと強く抱き締められる。

 * * * * *

 あっという間に一糸纏わぬ姿にされると躯中を嬲るように手が、唇が這いまわる。じわじわと上がる熱に侵食されるような感覚の中、刹那は吐き出されるままに声を上げていた。いつもなら嫌がっていた緩やかな愛撫も、焦れる刺激も、長く触れ合う為に全てを与えられるがままに受け取っていく。

「……んっ……ふっ……ぅ、んんっ」
「……ソラン……」

 ゆるゆると胎内を犯す指に頭がおかしくなりそうだった。気持ち良くて躯がどうにかなってしまいそうで、怖いのに、嬉しくて……もっと激しくしてほしいのに、もっと弄ってほしくて……けれど彼の腕の中にいる心地よさでどうでも良くなる。蜜壷がきゅうきゅうと絞まり指に絡みつくのに、それを振り払うように出入りしては内壁を擦り上げていった。敏感な内壁が擦り上げられる度に、腰が甘く疼く。時折、蜜壷の中を探られて一番感じてしまうポイントを押し上げられるとそれだけでイってしまいそうだった。

「すっげぇ……蜜の量……」
「……ぁ、んっ……」
「きもちイイ?」
「んっ……い、ぃッ……」

 濡れ具合を確かめるように掻き混ぜられると、ぐちゃぐちゃと卑猥な水音が鳴り、強い刺激に自然と腰を突き出してしまう。けれど、彼に上体を縋りつけたままでは逃げることは叶わず、そのまま更に指を増やされて掻き回されてしまった。とろりと伝い流れる蜜の感触を内腿に感じて頬を熱くなるが、もぞりと動いたニールの唇が胸の実に軽く歯を当ててくるので構っていられない。

「ひゃうっ……んっ……」

 感じるままに躯を跳ねあげると温かい口内に含まれて舌先で嬲りまわされる。じんじんと痛みすら快感へ変えてしまうほどに固くなった実が全身へ悦びの信号を走らせた。

「ッあ、あぁっ……に、ぃるぅっ……」
「ん?……イっちゃいそう?」
「んっ……も、イ、っちゃうぅ……」
「そっか。じゃ、どっちでイきたい?」
「はっ……ぅん……?」

 内腿がかたかたと小さく痙攣をし始めている。甘やかな痺れが降り積もりじわじわと追い詰められた躯が限界に達し始めているのだ。絶頂が近い事を必死に訴えると質問で返されてしまう。意味をうまく理解出来ずに小首を傾げると笑みが向けられた。

「お胸でイきたい?」
「っんん!」
「それとも……下のお口でイきたい?」
「はぁんっ!」

 言葉とともに、胸の実を舌先で弾かれ、花弁が咥えこんだ指が蜜壷全体を擦るように大きく突き上げてくる。それだけでイきそうな躯を大きく反らしながらもどうにか耐えてきゅっと服を握りしめた。

「どっち……もっ……」
「ふふ……欲張りだな?」
「だっ、てっ……きもち、イぃッ……」
「ん、正直だな。素直な良い子はもっと気持ち良くなってイかせてあげようか。」
「ッあぁ!」

 何をされるのだろうとぼんやりしていると、花弁を犯す手がもぞりと動き親指が花芽を押し潰してきた。びりっと電気が走ったように流れる激しい快感の波が脳髄にまで突き刺さる。無意識に突き出した桃尻を、背中を撫でていた手が這い回り全体を揉みあげてきた。

「にぃっ、るぅ……?」
「うんとイイ嬌声、聞かせろよ?」
「え……?」

 不安げに顔を合わせると、宥めるような口付けが眼尻を擽る。目を細めて甘受していると背筋がぞわぞわっと這い上がる感覚に襲われ、声も上げられずに背筋が反り返った。

「〜〜〜ッ!?」
「お、慣れたな?」
「あっ、あっ……?!?」

 さきほどまでよりもずっと強い刺激にまともな言葉が紡げなくなっていく。口を開けば途切れ途切れに吐き出される熱い呼気と声。絞め上げる蜜壷は今まで以上に圧迫が強く感じられる。

「ほら、ちょっと擦るだけで薄い内壁ごしに指が擦れ合ってる。」
「ひっあ、うっ!」

 ニールの言葉に今、どう言う風に犯されているのか理解出来た。桃尻を揉みあげていた手が隙間を縫って、指が菊座へと侵入しているのだ。少し動かされるだけでぐりぐりと擦り上げられる両壁が信じられないくらいの悦楽で脳を蝕んでくる。

「淫乱なソラン……指だけでこんなにヨがって……」
「あっ、あぅっ……」
「こんなにいっぱい蜜垂らしちゃって…えっちな匂いまで充満してきてるぜ?」
「やっやぁっいぅっなあぁッ!」

 指で嬲られるだけでも精一杯だというのに、更に言葉でまで責められるともう訳が分からなくなるほどに高ぶってしまう。制御の出来ない躯に脅えすら感じるのに、ニールの手はさらに酷く攻め立ててくる。目の前がちかちか明滅するほどの快感に絶頂がすぐそこまで迫ってきた。堕ちる恐怖に緑のシャツを固く握りしめる。

「あっ、イ、イくっ、イくっイくっイくぅっ、イっちゃ、イっちゃ、うぅっ!」
「いいぜ……派手にイっちまえっ……」

 ぐりぐりと菊座の中を抉り回され、蜜壷は三本に増えた指で最奥を突き上げるように押し上げられる。ごりっと音が聞こえそうなほどに強く前後から内壁を擦られた瞬間、雷が落ちたような刺激が腰の奥から脊髄を走って頭へと駆け上がった。

「あッあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 真っ白に染め上げられる脳内と自制出来ていない嬌声が喉の奥から吐き出される。

「あっあっあっ……」

 強烈な波が徐々に引いていく中、未だに甘い痺れが四肢の先端に留まっているかのようにぴくぴくと跳ねさせている。喉を通り過ぎる声も跳ねているかのように、途切れ途切れだった。強張った躯からもゆるりと力が抜け始めると、胎内に侵入していた指がずるりと這い出していってしまう。

「んんっう……っ……」

 抜ける瞬間までに内壁が擦られる感触に背や腰がびくりと大きく跳ねる。けれどまた突き入れられることなく出ていくと躯はぶるりと震えて完全に弛緩してしまった。ずるりと落ちる躯を柔らかく受け止めて優しく横たえてくれる。まだ整わない荒い呼吸の中、火照った躯の下に敷き詰められた瑞々しい花が冷たくて心地いい。

「ッあ!」

 ぼんやりと瞬いていると腰を浮かされる。何をされているか頭の隅で理解しながらも躯が動かず、されるがままになっていたらひたりと熱の塊が添えられた。花弁に口づける楔のあまりの熱さにぴくりと肩を跳ねさせると頬を柔らかな唇が掠めていく。

「ソラン……俺も……」
「あ、あ、っあぁぁぁ!」

 耳に甘く掠れた声を吹き込まれると共に灼熱の楔が花弁を捲り上げていく。訪れる衝撃を期待して、溢れだした蜜を塗りこまれるようにぬるぬると行き来する楔が時折花芽を押し潰した。びくっと背筋が跳ねると我が物顔で押し進んでくる楔が内壁を抉り、ざわざわとした感覚が脊髄を駆け上がっていく。肌を躯の中から逆撫でされるような感じに全身が戦慄き、腰がもっとと強請る様に揺らめいた。

「ッ相変わらず……イイ締め具合っ……」
「……あっ……あぁん……」

 イったばかりで敏感になっている躯を撫でられるとそれだけで蜜壺が引き締まる。ゆらゆらと揺れてしまう腰が内壁へ楔を擦りつけてしまい余計に感じ入ってしまった。がくがくと震える腕では上体をまともに支えられず地面へと頬を擦りつけてしまう。腰だけが高く上がってしまう格好に羞恥を感じながらも、擦れる角度が変わった事で更に敏感になっていった。再び上体を上げようにも、躯中に広がり続ける快感が邪魔をして上手く力が入らない。

「ヨ過ぎて……腰砕けちゃった?」
「んっ……ぅ……」

 耳元で囁かれた言葉に躯がかっと熱くなる。上体を下げてしまった事でニールの楔が擦れる位置を自分で変えてしまい、言われた事が図星になってしまったのだ。きゅっきゅっと絞まる胎内で脈打ち続ける楔に躯がさらに熱くなっていく。

「はっ……ぅんっ……」
「ソランも……気持ち、イイ?」
「んっ……い、ぃ……」

 胎内に感じる熱に小さく喘いでいるとくすりと小さく笑う声とともにぴたりと桃尻へ肌が密着する感触がある。脳裏にある長大な楔がすべて胎内に埋められたのだと知らされるようで、自分の躯がいかに貪欲であるかを思い知らされた。軽く揺すられるだけでもがくがくと震える躯を持て余していると内壁を擦って楔が出ていく。


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